Alertmanagerのwebhookを試してみる

Kubernetes上でAlertmanagerがちゃんと通知できるか、どんな内容が通知されているのか確認してみようとすると、連携するためのSlackが必要であったり、Emailを送信するにもメールサーバが必要だったりと、意外と気軽に試せないということがありました。 なので、今回はwebhookの機能を使ってNginxにリクエストを飛ばし、リクエストの内容をログから確認してみようと思います。 webhookとは? Alertmanagerのreceiverには以下が指定できます。 Email Opesgenie PagerDuty Pushover Slack AWS SNS VictorOps Webhook Wechat Telegram Webex Webhookとは特定のエンドポイントに対してHTTP POSTリクエストでアラートの情報を送信するというものです。 外部サービスではないので、自分自身でエンドポイントを用意し、自分自身で後続の処理を実装する必要があります。 例えば、以下のように設定します。 receivers: - name: "nginx" webhook_configs: - url: 'http://nginx-svc.default:8080/' webhookの連携先としてnginxを使う 今回はwebhookの連携先としてnginxを使用します。 nginxを使って実現したいことは以下のとおりです。 エンドポイントを用意する リクエスト内容を確認する nginx.confの初期設定をベースにしていますが、そのままだとリクエスト内容を確認することができないので、設定を追加しました。 log_formatで$request_bodyを指定し、/にアクセスした時に$request_bodyがログとして標準出力に出るように設定しています。 しかし、$request_bodyを有効化するにはproxy_passなどの後続処理が必要になります。なので、proxy_passで/trashというエンドポイントにリクエストを転送し、/trashで特に意味のない処理(1x1ピクセルのgifを返す)をしています。 The variable’s value is made available in locations processed by the proxy_pass, fastcgi_pass, uwsgi_pass, and scgi_pass directives when the request body was read to a memory buffer. http://nginx.org/en/docs/http/ngx_http_core_module.html#var_request_body user nginx; worker_processes auto; error_log /var/log/nginx/error.log notice; pid /var/run/nginx....

August 13, 2023 · Ken Kato

KubernetesのCronJobが失敗したときにアラートをあげる

CronJobは、指定したcronフォーマットに基づいて定期的にJobを実行するという機能です。 主にバックアップの取得やメール送信など、定期的な処理を実行する際に便利です。 一方で、CronJobが失敗した際にどのように検知すべきかについては、あまり情報がありませんでした。 なので、今回はそちらについて考えてみたいと思います。 kube-state-metricsを活用する kube-state-metricsとはKubernetesクラスタ内のリソースの状態をメトリクスとして提供してくれるというものです。 kube-state-metricsではCronJobやJobの状態をメトリクスとして取得することができます。 この方式採用している記事が多かったので、こちらで検討を進めてみたいと思います。 ※記事 https://medium.com/@tristan_96324/prometheus-k8s-cronjob-alerts-94bee7b90511 https://www.giffgaff.io/tech/monitoring-kubernetes-jobs どのメトリクスを使い監視するか CronJobはcronフォーマットで指定された時刻にJobを生成し、そのJobがPodを生成するという3層の親子構造になっています。 また、CronJobとJobの関係は1対多で、JobとPodの関係は1対多になります。 Jobが完了するのはcompletions個のPodが正常終了した場合、もしくはbackoffLimit個のPodが異常終了した場合に限ります。 completions completions個のPodが成功すると、Jobが完了したとみなされる デフォルトは1 backoffLimit 失敗したと判断するまでの再試行回数で、この回数を超えるとJobは失敗とみなされる デフォルトは6 そして、アラートを上げたいのはJobが失敗した時です。言い換えると、backoffLimit個のPodが異常終了したときにアラートを上げるということになります。 何個のPodが異常終了したのか監視することも可能だと思いますが、ここではJobのステータスを監視するのが適切かと思います。 メトリクス 対応する項目 説明 kube_job_status_succeeded .status.succeeded Jobの管理下で正常終了したPodの数 kube_job_status_failed .status.failed Jobの管理下で異常終了したPodの数 kube_job_complete .status.conditions.type Jobが成功したかどうか kube_job_failed .status.conditions.type Jobが失敗したかどうか 参考: https://github.com/kubernetes/kube-state-metrics/blob/main/docs/job-metrics.md Jobに関するメトリクスは複数ありますが、この中でも特にkube_job_failedを使ってアラートを上げるのが良さそうです。 以下の設定だと、Jobが失敗したときにアラートが上がります。 kube_job_failed > 0 アラートが発火し続けてしまう問題 失敗したJobは削除されずに残り続けるので、アラートが発火し続けてしまいます。 なので、JobのttlSecondsAfterFinishedを設定し、数分後にJobが削除されるようにします。 ttlSecondsAfterFinished 指定秒後にJobを削除できる CronJobのfailedJobsHistoryLimitを設定するという方法も思いつきましたが、0にしてしまうとそもそもアラートが上がらないと思うので、こちらは1のままにしておきました。 failedJobsHistoryLimit 失敗したJobを指定個数分残しておける デフォルトは1 まとめ 今回はkube-state-metricsを活用して、CronJobが失敗した時のアラートを設定しました。他にもっといい方法をご存知の方は教えていただけるとありがたいです。

August 8, 2023 · Ken Kato